出張が多い社長必見!旅費規程を使って節税する方法
記事作成日 2020/05/25 記事更新日 2023/02/05
会社にいれば出張にいくこともありますよね。近場の出張もあれば、宿泊して遠方まで出向くようなものもあると思いますが、こういった出張について規程を作ることで節税出来ることはご存知でしょうか。
今回は旅費規程を使った節税方法について説明していきたいと思います。
旅費規程とは何か
旅費規程とは、社員が出張などで外出した際の旅費や交通費などの実費精算や日当等について定めた規程のことです。例えば、出張に行く場合にホテル代は〇万円まで、新幹線移動の場合に部長以上はグリーン使用OKなど出張時の規則を記載したものになります。なお、旅費規程は就業規則(従業員の規則について会社が定める規則)の一部となりますので、一般的には就業規則と合わせて作られることが多いです。
旅費規程における精算の対象
旅費規程で現金精算の対象となるものは、大きく「実費精算」と「日当」に分かれています。「実費精算」とは、例えばホテル代や交通費など実際にかかった経費を会社に対して実費で精算するというものです。例えば「東京と名古屋を新幹線で往復し、片道10,000円かかった」とすると、往復20,000円をまず乗車した従業員が立て替えし、後程実費で会社に対して精算することになります。
一方で「日当」とは、出張があると現地での飲食費や手土産、その他出張の際に入り用があることから、「1日あたりこのくらいはかかるだろう」と会社が見込み、1日当たりで支払うことを約束しているお金のことを言います。例えば「3月11日から12日まで東京から名古屋に出張した。会社では、1日出張した際に3,000円の日当を出すことにしている」とすると、1泊2日で3,000円×2日=6,000円の日当を出張した者は会社に請求できることになります。
今回節税となるのは、こちらの日当のほうになります。
日当がなぜ節税になるのか
日当がなぜ節税になるのかを理解するためには、
「日当を支払った会社側」の税金
「日当を受け取った個人」の税金
の両方について理解する必要があります。
まず、日当を支払った会社側を考えてみましょう。会社は業務として従業員を出張に行かせているわけですから、出張に関係して発生した日当は会社の経費になります。ここは大丈夫ですよね。
一方で、日当を受け取った個人のほうを考えてみましょう。日当としてお金をもらったのだから、個人のほうでも税金がかかってしまうと思ってしまいますが、実際はそうではありません。勘違いしがちですが、宿泊日当はあくまで出張の際にかかった飲食費などの諸雑費に対する支払です。出張をした労働に対する支払ではないので、給与ではなく実費精算に近い性質のものです。ですので、日当は合理的な範囲内であれば税金がかからないのです。
ここまでの内容をまとめると、
会社からすると、日当の支払いは経費になるため税金が減る。
個人からすると、日当の受け取りは所得にならないため、税金はかからない。
という非対称な状態になります。ここに日当を使った節税の効果があるのです。
旅費規程節税のメリット
旅費規程節税のメリットはコスト0で節税が出来ることです(もちろん規程を作る時に専門家に依頼すればこの報酬は発生しますが)。特に1人会社の役員であれば、自分に給与で出すよりも日当で出すことによって節税が可能です。一人会社でなく従業員がいる場合は、自分だけ日当を出すということは出来ないのでコスト0というわけではありませんが、会社で経費を落とすことが出来、かつ従業員に実質的に給与に近い形で与えることが出来ます。従業員からの満足度も高くなり、長期雇用にも繋がるでしょう。
旅費規程の日当はいくらくらいにしておくのが良いのか
日当とひとことに言っても、金額をいくらにするのかという問題があります。ただし、明確な日当の金額は役職や業種によって違うため、国税庁としても一定の金額基準を設けているわけではありません。社会通念上妥当であれば問題なし、という曖昧な表現になっています。
ここが最初に日当規程を決める時に難しい部分になります。ただし、まったく金額基準がないとなると困ってしまうと思うので、私の今までの経験と税務調査での指摘の有無を考え、以下の金額の範囲内にしておくのが良いかと思います。もちろん、金額が小さいほうが指摘の可能性が低いものと考えて頂き、あくまで参考程度にしてください。
【役職別の日当基準】
- 社 長 2.0万円/日 以下
- 他役員 1.5万円/日 以下
- 管理職 5,000円/日 以下
- その他 3,000円/日 以下
旅費規程のリスクとデメリット
旅費日当節税は手出しなく出来る節税であるため、基本的にメリットが大きい節税になるのですが、誤った方法を適用してしまうとリスクが高い部分もあります。よくやってしまいがちなミスとして、
- 役員だけに日当を出してしまう(構成員全員に公平な規程になっていない)
- 明らかに日当の趣旨を超える過大な金額を出してしまう
- 適時に精算しておらず、節税目的の日当であることが明確である
こういったことをやってしまうと、日当が妥当でないものとして否認され、給与として課税されることになります。ちなみに日当が否認されてしまうと、
- 給与として認定され、源泉税が追加でかかってしまう。
- 役員の場合、支払自体の経費性が否定されてしまう。
- 上記にかかる延滞税がかかってしまう。
という「トリプルパンチ課税」を食らってしまうことになってしまいます。せっかく節税したのに、あとで税務署に指摘されてお金を払ってしまっては、とてももったいないですよね。税務調査で否認されないように、最初の時点で適切にスキームを組み、しっかり節税メリットを享受していきましょう。
なお、当社では旅費規程の作成もサポートしています。リスクを極力低く抑えつつ節税することが出来ますので、以下からお気軽にお問い合わせください。
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