【青色申告の特別控除とは?】65万円と10万円の特別控除について徹底解説!
記事作成日 2020/09/15 記事更新日 2023/02/05
1.青色申告とは?
青色申告の特別控除を受けるには青色申告をすることが前提になりますが、青色申告について理解をしていなければ、特別控除も受けることができません。ということで、青色申告についてみていきましょう。
青色申告は一定水準の記帳を行い、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取り扱いを受けることができる制度をいいます。要するに、ちゃんとお金の流れを残していれば、税金で有利な取り扱いをしてもらえるという制度です。
これを聞くと税金が少なくなるのであれば、青色申告をした上で、有利な制度を受けたいと思うのかもしれないですが、全ての人が青色申告制度を活用することができません。どういう人が対象になるかというと、不動産所得、事業所得及び山林所得がある人が青色申告の対象となります。⇒ふ じ さん と覚えることができます。ただし、要件は所得の種類だけではなく、青色申告をする年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
青色申告と白色申告の違いをまとめた記事はこちら
2.青色申告のメリットとは?
次にここまでみてきた青色申告ですが、青色申告をすることで受けられるメリットをみていきましょう。青色申告をすることで受けられる主なメリットは以下の4つがあります。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 貸倒引当金
- 純損失の繰越し・繰戻し
青色申告特別控除は後述に譲るとして、まずは②から④の制度をみていきましょう。
②青色事業専従者給与ですが、15歳以上の配偶者や親族に支払った給与であれば、事前に届出をした金額内であれば、必要経費に算入することができる制度です。必要経費に算入ができるのでこれを適用すれば、節税をすることができます。奥さんなどに給与を支払うことで節税ができるのです。
⇒専従者給与について解説した記事はこちら
③貸倒引当金は、事業所得がある青色申告者で、事業から生じた売掛金や貸付金などの債権の貸倒れに備えて、貸倒引当金が設定できる制度です。債権の5.5%以下の金額を貸倒引当金として設定ができ、必要経費に算入することができます。
④純損失の繰越しは、所得計算してマイナスの部分が出た場合には、この損失を3年間繰越ができて所得から控除できるという制度です。一方、繰戻しは前年も青色申告をしている場合で、損失額が生じた場合には、前年で申告した所得税の還付を受けられるというものです。
このように青色申告をすることで受けられるメリットは多いです。ここまでみてきたメリット以外にも、少額減価償却の特例(取得価額が30万円未満であれば、年間300万円まで損金として計上できる)などの規定などもあります。
最後に青色申告特別控除についてみていきましょう。
3.青色申告特別控除とは?
青色申告特別控除ですが、青色申告をしていれば所得の額から控除する額を増やしてもらえるという制度になっています。青色申告特別控除には、控除の最大額が①65万円と②10万円の2種類あります。
まずは①65万円の控除を受けられるケースをみていきましょう。65万円の控除ですが、ⅰ55万円の控除がベースになり、ⅱ追加の要件を満たせば65万円という2段階の構成になっています。
55万円の控除を受けるには以下の3つ要件を満たす必要があります。
- 不動産所得あるいは事業所得を得る事業を営んでいること
- 正規の簿記の原則により記帳していること
- b.に基づき作成された貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、
当該申告書に控除の適用を受ける金額を記載して期限内に提出すること
a. の要件は、単純な内容となっていて、不動産所得あるいは事業所得があるかが要件になっています。青色申告自体が、不動産所得、事業所得あるいは山林所得がある人が対象となっているので、青色申告の要件が山林所得でなければ大丈夫ということです。
b.の要件は、正規の簿記の原則により記帳するという内容ですが、これは簿記のルールに基づいて記帳してくださいということです。一般的に複式簿記と呼ばれる方法で帳簿をつけていくということです。
c.の要件は、b.の要件にある正規の簿記の原則に基づき、貸借対照表と損益計算書を作成して、申告書に添付する必要があります。また、合わせて当該申告書には控除を受ける金額を入れた上で期限を守ってくださいということです。
上記の要件をまとめると、不動産所得あるいは事業所得があれば、期限内に複式簿記で作成した申告書を申告してもらえると55万円の控除を受けられるということです。さらに55万円の要件を満たした上で、e-Taxによる申告(電子申告)あるいは電子帳簿保存をしていれば、65万円の控除を受けることができます。
次に②10万円の控除ですが、これまで見てきた55万円の3つの要件を満たさなければ、10万円になってしまいます。青色申告の要件を満たしているが、山林所得のみであれば必然的に10万円控除になってしまいます。
青色申告と白色申告の違いをまとめた記事はこちら
4.まとめ
ここまで、青色申告および青色申告特別控除について見てきましたが、青色申告をすることで受けることができるメリットが多いです。さらに不動産所得や事業所得があるのであれば、65万円の青色申告特別控除を受けられるように要件を満たして申告をしましょう。
事業などをしていて、青色申告及び青色申告特別控除など興味をお持ちになった方は、お気軽に相談ください。
※なお、今回みてきた青色申告及び青色申告特別控除ですが、
詳細な内容については国税庁のHPのタックスアンサー(よくある税の質問)No.2070及びNo.2072をご覧ください。
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